はじめに
長男の右手が「にぎり母指症」でした。
装具では改善しなかったので手術しました。
当時、握り母指症の手術について調べていましたが、装具の情報は多いけど手術の情報が少ないと感じました。
そのため、同じような状況の方の役に立てたらと思い、握り母指症の手術について書くことにしました。
※手術10か月後の手術跡の写真を最後に追記しています。
にぎり母指症の手術をしたことを、覚えている限り書いています。
「指の障害」「手の障害」や「にぎり母指症」の情報を探している方の役に立てたらうれしいです。
体験記になるので医学のことは、専門機関に相談してください。
全国で手外科専門診療を担当されている先生がいるので安心してください。
記事内に担当していただいた専門医のHPを貼っています。
(追って内容修正・追記をしていきますので、分かりにくい点はご容赦ください)
装具では改善しなかったため、腱と筋肉の移植手術をしました。
手術をすることになった時はとてもショックを受けました。
振り返ると「心配しすぎだったかな」と思えます。それほど経過は順調です。
近所の小児科を受診から手術まで、3年ほどの期間がかかりました。
右手の親指が開かない:先天性握り母指症
生後1ヶ月過ぎたあたりに気付きました。
「親指を握り込んで開こうとしない」
「根元から折れて、手のひらに付けたまま」
このときは成長とともに開くと思っていました。
近所の小児科へ
近所の小児科へ連れて行きました。
そこから、小児科医療センターを紹介していただきました。
先天性にぎり母指症と診断
医療センターで、「先天性にぎり母指症」と診断されました。
装具を作製し、様子を見ることになりました。
ここから三か月毎に通院することになります。
インターネットで「にぎり母指症」について調べるように。
装具の記事は見かけましたが、手術の記事が見当たらず、「装具で治ることが大半なのかな?」と気楽に考えていました。
医療センターの先生も「装具で治ることが多い」と言っていたと思います。
ですが、同時に「装具で改善が見られない場合は手術」と伝えられました。
握り母指症の装具をつけたときの話
はじめはおとなしく装具をしてくれましたが、成長するにつれ、嫌がって装具を外すようになりました。
先生に相談したところ、「装具は寝ているときだけでも良い」と言ってくださいました。
さらに成長し、月齢を重ねると寝ながらも外すようになりました。
痛かったのだと思います。
装具で改善する様子もなく、1年ほど経過しました。
装具から握り母指症の手術へ
装具では良くならないため、「小児科医療センターの先生」から「外科手術の先生」にかわりました。
担当していただいた齊藤先生はいろいろな「手の手術」をされています。
初診察では、親指をいろいろな方向から観察したり、親指をつまんで動かしたり、
指の状態を確認されていました。
握り母指症の親指の状態
分かったこと
- 親指の「付け根の腱」が普通の人と違って緩んでいる
- 「親指付け根」の関節部が外側へ曲がっている、グラグラしている
- 人差し指と親指の「開きが狭い、固い」
- 装具では治らない
「人差し指と親指の間が狭く固まっている状態」+「親指は外側へ曲がる」変形が強くなることが多い。
↑腱がゆるく、外側へ傾いている
親指と人差し指のひらきが狭い、固い
「腱と筋肉の移植による親指の固定」と「指の間がひらきやすく」する手術のために、
レントゲンやエコーで親指の状態を調べてもらいました。
親指を動かす腱は二本あることが正常ですが、
息子の親指は一本が「欠損」または、
「細く短く退化している」可能性が高いことが分かりました。
握り母指症の手術の内容
手術内容を簡単にまとめました。
- 全身麻酔をする
- 全身麻酔にはリスクがある
- 親指の腱が1本足りないので他の指から移植する
- 人差し指と小指は2本づつ腱があるため、どちらかを親指に移植する
- 腱が二本ある指から腱を取っても日常生活に問題はない
- 人差し指の腱が一本しかない可能性があり、その場合は小指の腱を使う
- 人差し指の触診、見た感じ、レントゲン撮影でも確実に腱が2本あると言い切れない(まだ小さいので分かりにくい)
- 手術中に開いてみないとわからない
- 親指と人差し指の股が狭く固い状態なので切って幅を広げる
- 親指・人差し指の皮膚はジグザグに切開することで傷跡も目立たない
- 手と足の傷跡は消えやすく目立ちにくい
- 成功すると後遺症は無い
- 日常の生活に困ることはない スポーツにも影響はない
全身麻酔
麻酔科の先生より麻酔についての内容をまとめました
- 風邪を引くと2週間は気管支炎が残るため全身麻酔ができない、手術は延期になる
- 可能性は極めて低いが命を落とすこと、後遺症が残ることの説明
- 風邪をこじらせないように入院一ヶ月前には保育園を休ませた方が良い
入院の様子(手術前)
簡単にまとめました
- 手術前日の夕方に食事制限のために入院
- 四人部屋
- 退院まで泊まりで親が付き添い
握り母指症の手術後の様子
麻酔から無事に目覚めてくれました。
手術のことより全身麻酔のほうが心配でした。
子どもは目覚めたばかりで、ぼーっとした様子…
先生から「手術は成功した」と報告を受けました。
入院で困ったこと
大きなギプスをしているので腕が服の袖を通りません。
Tシャツをハサミで切ってギプスをした腕を通せるようにしました。
退院
予定より一日早く退院させてもらえました。
手に痛みは無いようで、元気に過ごしていました。
二の腕まで固定されたギプスにも慣れてました。
ギプスを取るまでの過ごし方
親指を動かせないように、針金二本を手の関節に埋め込んで固定してあります。
転んだ際に手を突くと、針金が曲がる可能性があるので心配していました。
お風呂で水が侵入しないように、ビニールとテープでギプス覆う作業を毎日しました。
「ギプスを強く打った際は割れていないか確認し、割れた時は病院へ来るよう」に言われていました。
毎日一度、指先の色が正常か観察しました。
ギプスが取れる1ヶ月間は保育園を休みました。
ギプスを取る
暴れる息子を大人3人で抑えこみ、ギプスを取ってもらいました。
固定していた針金も引き抜かれました。
骨には神経がないらしく、針金を抜く瞬間は怖がるだけでした。
ギプスは取れましたが、手首から指先まで包帯巻きの状態で帰りました。
2週間後に包帯を取ってもらったと思います。
包帯を取ったあとは、縫合糸が残っていました。
糸は自然に無くなると、説明を受け帰宅。
握り母指症の手術後の現在
手術から半年たちました。
傷跡はありますが目立たなくなってきました。
「手の開き、親指の付根の曲がり」が治っています。
治療前より右手を使うことが増えました。
「利き手は右利きなんだな」とわかるようになりました。
手を繋いでも違和感はありません。
握り母指症の手術を終えてから10か月後の写真
手術跡を分かりやすい角度から、目立つように写真を撮りました。(普段は目立ちません)
親指の股を開きやすくする切開手術も受けましたが、写真では分からないほど治っていたため、撮影をやめました。
人差し指の付け根の手術跡。
人差し指の腱を移植するために切っています。
親指付け根の手術跡。
タテに手術跡があります。
手の甲の手術跡。
人差し指の腱を親指に移植するために切っています。
印をつけないと分からないレベルの手術跡があります。
さいごに
手術が無事成功してよかったです。
息子の手術を担当してくださった先生のHPです↓
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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